イマジネーションと技術が織りなす、素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材やパーツ)など各社渾身の一点を提案する『極めのいち素材』。第108回東京レザーフェアにて、人気投票でTOP3を獲得した企業へのインタビューを掲載します。まずは前編となります。
【第3位】
墨田革漉工業 株式会社
品 名:ルーヴィード
<コメント>
環境に優しいクロムフリーの革にカッティングを施し、まるで高級絨毯を思わせる芸術的な素材に仕上げました。
柔らかな質感と高級感を備えた素材は、特別の美しさと独自のデザインで贅沢な空間やスタイルをつくり出すことができるでしょう。
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明治初期に前身となる革漉業から始まり、海外の最新加工技術を積極的に取り入れながら、革のトップクリエイターとして発展してきた墨田革漉工業株式会社では、様々な加工を得意とし商品の魅力と価値を高めてきました。
そんな歴史が深い同社で新たに開発された極めのいち素材『ルーヴィード』について、代表の佐藤元治氏からお話を伺うことができました。
―この素材の特徴をお聞かせください
黒のピッグスキンに箔やフィルムを貼って、まずはベースを作り、ナイフカットという弊ならではの加工を使って仕上げた革になります。一番細かいピッチを使い、縦横90度でカットを入れますとこのようなタオルの表面のような表情を作ることができます。
また、下地の色と表面のフィルムの組み合わせによって、様々な表情を生み出せるので、お客さまのニーズに合わせて加工することができます。
―素材開発のきっかけとなった背景をお聞かせください
実はこのナイフカットという加工は革の特性を生かした加工になりまして、合皮や布帛のような生地で加工をすることはできません。銀付き革のような層になっている革でないとこのような表情にはならないので、革ならではの加工という点を踏まえ極めのいち素材に出展しました。
また、当社は加工屋になりますので、自社の技術を使って自由に作ることができます。毎回、極めのいち素材には出展させていただいているのですが、加工屋らしい特色が出るような開発を心がけております。
―製作にあたって苦労したことなどありますか?
フィルムを貼ったり、セットをしたりなどの手間自体は、他のナイフカット商品と変わりはないのですが、一番細かいピッチ幅で加工をしているので、単純に時間がかかりますね。さらにカットは一方向にしか入れられないので、一方が終わると仕上がった革を90度回して再度機械に通すので、最終的に仕上がるまでには1時間以上かかります。
―出来上がった素材は想像していた通りのものでしたか?
今までバングラキップなど牛革での加工は何度かありますが、極めのいち素材ということもあり、やはり日本ならではのものを作りたかったので、墨田区という立地を考えてピッグスキンで挑戦してみようと思いました。豚革での加工は今回初めてだったのですが、牛とはまた違う表情を得ることができて想像以上の仕上がりになったと思っています。
(後編につづく)
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各団体・企業情報はこちらから。
墨田革漉工業 株式会社(MEMBERページ):https://tlf.jp/member/tokyotoseikakugyou_santishinkoukyougikai/
墨田革漉工業 株式会社 公式サイト:https://www.sumidakawasuki.com/