2022.12.23

【極めのいち素材】第103回 第2位 フジトウ商事株式会社(前編)

イマジネーションと技術が織りなす、素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材やパーツ)など各社渾身の一点を提案する『極めのいち素材』。第103回東京レザーフェアにて、人気投票でTOP3を獲得した企業へのインタビューを掲載します。まずは前編となります。

【第2位】
企業名:フジトウ商事株式会社
品 名:deer/Nature(蝦夷鹿革)
<コメント>
害獣駆除として廃棄されるところ、温かな人によって生まれ変わりました。ダイナミックな自然を5つのカラーに表現し、その1つが「大地」。

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牛、豚、馬、羊、山羊等に加えて、ワニ、蛇、トカゲなどの爬虫類や兎、鹿等の毛皮まで、様々な種類のレザーを扱っているフジトウ商事株式会社。大正10年創業という長い歴史で培った経験を生かし、お客様のニーズに合った最適な素材を提供しています。そんな同社について、「極めのいち素材」の担当者 谷口総氏にお話を伺いました。

谷口総氏

―この素材の特徴をお聞かせください。

この商品は蝦夷鹿に絞りの技法を施し、自然の営みをイメージした素材です。職人さんの手仕事で仕上げる素材なので、同じ模様はなく一枚一枚の表情が異なっていますが個性としてとらえていただければ幸いです。

―素材開発のきっかけとなった背景をお聞かせください。

年々野生動物による農被害や都市部への往来が広がりさまざまな野生動物が駆除の対象とされています。自然豊かなイメージの北海道でさえヒグマや蝦夷鹿が都市部に現れ駆除されている現状に、便利さを享受している一消費者として多少なりとも責任を感じてて、駆除された生き物にせめて素材と して息吹を吹き込んであげたいなと思ったことがきっかけですね。

―製作にあたって苦労したことなどありますか?

そもそも感覚で感じる「自然」をイメージした配色の素材なので具現化させるのにタンナーさんとイメージを共有するのが苦労しましたね、お手本や見本が在るわけではなく、感覚ですから(笑)

―どのような市場がビジネスチャンスとなりますか?

軽く柔らかなタッチで靴・鞄・衣料等様々なモノづくりに使用できますが、まったくジャンルの違う商品や、クリエイターさんにも使ってほしいですね。職人さんの手仕事で仕上げた革素材を業界、業種を気にせず使っていただき、新しい価値観でクリエイトされた物を見てみたいですね。

―サスティナブルとの関連性などございますか?

横文字でサスティナブルと言うとなんかあれなんですが、皮革って只々まっとうな事をまっとうに紡いでいるだけだと思います。都会に暮らして便利が広 がるにつれて私たちの祖先が大事にしてきた事を忘れがちになってて。他の生命を食べなければ生きていけない、人の原罪ですよね、家畜動物も害獣動物も私たちが生きていく、暮らして行くために命を頂いているので、余すことなく終いまで使い切る。そんな思いはあります。

(後編へとつづく)

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フジトウ商事株式会社(MEMBERページ):https://tlf.jp/member/fujitou/
フジトウ商事株式会社 公式サイト:https://fujitou.co.jp/