イマジネーションと技術が織りなす、素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材やパーツ)など各社渾身の一点を提案する『極めのいち素材』。第108回東京レザーフェアにて、人気投票でTOP3を獲得した企業へのインタビューを掲載します。つづいては後編です。(前編はコチラ)
【第2位】
株式会社 川善商店
品 名:SHIn(Floater Type)
<コメント>
オーバーカーフを使用し、日本の感性、そして、水質、独自の鞣し、加脂技術で作られた海外には存在しないハイクオリティな逸品。
吸いつくようなタッチとキメの細かさが特徴のシボ革。
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―サステナブルについて、御社の考えをお聞かせください。
今、どこの皮革関連の企業さまでもインタビューすると「革は副産物だからサステナブル」というキーワードが出て来るかと思います。いうまでもなく、我々も一番最初に訴えたい内容だと思っていますが、これは私が座長を務めさせていただいている『Thinking Leather Action』というプロジェクトにより、業界全体で革のサステナビリティを発信していかなければならないという危機感が共有できた結果かと思っています。私が、このプロジェクトを立ち上げたきっかけは、5年〜6年ほど前の世の中の風潮で「革のために動物を育てている・殺している」や「牛がゲップするから革の使用をやめたほうが良い」など、誤った認識が拡散している現状があったからです。サステナブルの観点からこの誤った認識を正していきたいという思いがありました。このプロジェクトを立ち上げて、最初に取り組んだことはインナーブランディングで、まずは業界全体に浸透させ、みんなが同じことを言えるようになるよう日本各地で講習会を開いたりしました。現在では各企業様から各々情報を発信していただけるようになり、本当にありがたいなと思っています。
―皮革業界として「今、何を為すべきか?」など、ご意見ありますか?
専門性の高いこの業界で経験豊かな人材が育っていないことが気になっています。タンナーさんをはじめ、薬品屋さんや識者と言われる方々の引退が多く、その知識や言葉がうまく後世に引き継がれていない現状に危機感を覚えています。世界的に皮革業界は進歩している中、ここ日本では人材確保や、知識の伝承、教育の衰退化などが深刻な問題の一つだと言えます。その影響は川上であるタンナーさん・革屋さんだけではなく川下である革製品の小売、販売員の方々やクラフトなど革の愛好家の方々へも波及し始めていると考えています。大変おこがましいことではありますが、私自身できることは何だろう?と考えた時、業界全体の知識向上や言語の統一化などに少しでも役立てばという思いで、YouTubeを利用して革に関する基礎知識をコンテンツとした配信を行っております。
―現在、御社が取り組んでいることなどありますか?
よく思われがちな単純な革屋問屋ではないポジションを築きたいなと思っています。本来であれば、革はもっとクリエイティブな素材だと思っています。海外ではデザイン〜素材までの距離がもっと近く一体となりファッション産業が成り立っている感じがしますが、日本ではその距離が遠い、もしくは切り離されていると感じています。私たちはデザイナーや企画の方と直接話をして、要望を聞き、咀嚼する能力、提案できる体制が整っていると思っていますので、ただ革を売るだけでなくディレクションができる革屋を目指したいと思っていますし〝そのような会社があるんだ・・・〞と知ってもらうことが今後の展望ですね。
―来場者の方々へメッセージをお願いします。
東京レザーフェアでは、毎回我々はテーマをもって展示を行っています。例えば前回は、動物の違いや質感の違いを、色を同一条件にすることによって、五感で感じていただけるように「Paint It Black」というテーマで黒い革のみを展示しました。今回も、他とは一線を画した興味を持っていただける展示を行うつもりです。是非ブースにお立ち寄りください。また、今期の『Thinking Leather Action』では、もっと革の本質に向き合った企画を考えています。ファッションとサステナブルを絡め、業界全体を後押しできるようなプロモーションにしていますので、ぜひ応援のほどよろしくお願いいたします。
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各団体・企業情報はこちらから。
株式会社 川善商店(MEMBERページ):https://tlf.jp/member/kawazen/
株式会社 川善商店 公式サイト:https://kawazen.co.jp/