Theme01
独自のポジションに、さらなる発展を。
愛知県名古屋市にて1930年に創業した(株)川善商店。国内における流通の中心地、東京ではない場所だからこそ為し得た独自の進化を遂げながら、家具用の革においては業界随一のシェアを誇るなど、確かな実績を積み重ねてきました。そんな同社にさらなる改革をもたらせたのが、現代表である川北芳弘氏です。グラフィック系の制作プロダクションや広告代理店での勤務を歴て現職に就いた同氏は、まず2015年に東京支店を開設。それまでに培った経歴を活かして、インテリアやアパレルといったよりクリエイティブな業界との接近を図るなど、その独自性に磨きをかけてきました。また同時に、皮革・革製品のサステナビリティを啓蒙・周知のための取り組みである『Thinking Leather Action』の座長も兼務するなど、その活動は多岐に渡っています。
Theme02
“無謀”とも呼べる投資は、品質へのこだわりの証。
川北氏が推進してきた数々の取り組みの中でも、特に注目すべきなのが、2018年に姫路につくった自社工場です。当時の売上規模から考えると“無謀”とも呼べる投資を敢行したのは「どうせやるなら、海外に負けない革をつくりたい」という同氏の強い思いがあったから。そしてその実現に向けてポイントとなるのが「色」でした。イタリアを中心とした海外のハイブランドの革製品にはカラフルなものが多く、長く使っても褪色しません。そこにヒントを得て、塗料や着色のプロセスを徹底的に研究。現在では日本国内で同社しか使っていない塗料を用いるなど、問屋と製造の“ハイブリッド型”を体現することで、その存在感をいっそう際立たせています。
Theme03
人に。そしてモノに。手を抜かず、誠意を込めて。
同社が展開する種々の事業活動や、創業からの比類なき発展、さらに止まることのない挑戦の根幹にあるのが、ブランドスローガンの中にも入っている「integrity(=誠意)」という考え方です。「いい革をつくるためには、すべての工程で手は抜けません」と語る川北氏は、それが故に自社工場を設立し、そこでつくられる革においては妥協なく品質管理を行っています。またクリエイターと革の供給者とのつながりの薄さや、それぞれの知識の重なりが少ないことに違和感を覚えたことから、タンナーや薬品会社、「下請け」や「孫請け」と呼ばれる協力業者の製造現場など、そのすべてに足を運んで交流やディスカッションの場を設けるなど、業種を超えた信頼関係の構築に注力しているとのこと。「人にも、モノにも、誠意を」。そう事業における信念を語る同氏の活躍に、これからも目が離せません。