2023.06.29

【極めのいち素材】第104回 第1位 株式会社 寿屋(後編)

イマジネーションと技術が織りなす、素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材やパーツ)など各社渾身の一点を提案する『極めのいち素材』。第104回東京レザーフェアにて、人気投票でTOP3を獲得した企業へのインタビューを掲載します。つづいては後編です。(前編はコチラ

【第1位】
株式会社 寿屋
品 名:オリガミ
<コメント>
厚み約0.5mmと極限まで漉いた革にオイルを含ませ形状を維持、仕上げは革らしい素上げで手触りも抜群の折り紙をイメージして作製された『オリガミ』。
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昭和三十五年に前身である「寿屋商店」として創業以来、自然への感謝、お客さまへの感謝、そして働き手の社員への感謝を忘れずに、ここ大阪市浪速区に本社を構え、長い年月革に携わってきました。極めのいち素材で見事1位に輝いた『オリガミ』について、同社の奥弘之氏にお話を伺いました。

―御社の考えるSDGsな取り組みなどございますか?

昔から言われていることですが、革を作るために動物の命をいただいているわけではなく、あくまで食肉の副産物として余った皮を社会に還元しているのが私たちの仕事であります。流行り言葉のようにサスティナブルという文字を目にしますが、もともと革はサスティナブルな素材なので、私たちはそのことをもっと消費者にわかってもらえるように働きかける必要があると思っています。ヨーロッパは、エコなどの運動にやはり敏感なので、意識が日本とは大きく違います。また、革を作る工程に関しても、より良い自然に近い環境での製造も開発されてきています。ただ、そういった環境づくりがなかなか消費者に伝わることが少ないので、この機会にもっと伝わりやすい広告の出し方も考えていきたいと思っています。

『オリガミ』で作られた、折り紙の数々。

―WEBやオンラインなどの取り組みなどありますか?

オンラインストアなども参入されてきて、様々な業界で活躍されてますが、革素材はどうしても実際に手で触って、質感などを感じていただく必要があるので、ネットのみでの完結は難しくなりますね。実は、私自身やりたいことがありまして、様々な革を積んで日本各地を車で巡業しながらサンプルなどを配って回りたいと思っています。そして最終的にはオンラインの方で購入できる仕組みを作れたらいいですね。

―皮革業界として「今、何を為すべきか?」など、ご意見ありますか?

コロナの影響もありますが、最近の輸入価格の高騰も皮革業界に限らず、かなりの問題を抱えてますね。そういった問題も考えると国産の革の価値をもっと見い出し、適正な価格で消費ができるようにしていくことも大切だと思っています。どうしてもバングラデッシュやインドの革などに比べると国産の革はコストが高くなってしまいます。今であれば、逆に海外への輸出も良いのですが、そうなると国内での流通が少なくなってしまう問題も出てくるので、その辺も今後の課題になってきます。

―今後の展望など、ありましたらお聞かせください。

WEBを通じての発信なども強めたいと社内で持ち上がっております。また、オーナーが原皮屋という強みがありますので、神戸牛など日本の和牛をジャパンレザーとして、世界に発信していきたいので、そのためにもWEBなどのツールを強める必要があります。

―来場者の方々へメッセージをお願いします。

弊社自体、昔から『おもしろい革』や『変わった革』を集めるのが好きな企業で、ありがたい事に「寿屋に行けば何かあるぞ」と思っていただいています。今回、ヨーロッパからも新しい革をたくさん仕入れてきていますし、在庫展開するものもあります。寿屋らしいおもしろい革をたくさん展示する予定なので、気になる商品など、お気軽にお声がけください。

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各団体・企業情報はこちらから。

株式会社 寿屋(MEMBERページ):https://tlf.jp/member/kotobukiya/
株式会社 寿屋(公式サイト):https://www.v-kotobukiya.co.jp/