2024.02.02

【極めのいち素材】第105回 第1位 フジトウ商事 株式会社(前編)

イマジネーションと技術が織りなす、素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材やパーツ)など各社渾身の一点を提案する『極めのいち素材』。第105回東京レザーフェアにて、人気投票でTOP3を獲得した企業へのインタビューを掲載します。まずは前編となります。

【第1位】
フジトウ商事 株式会社
品 名:アドバンガラス
<コメント>
一見何の変哲もない革ですが、表面の色を落とすと下から新しい色が出てくる不思議な革! 使用される方が好みの色合いに調整でき、自分好みの唯一無二なアイテムへと変化させてくれます。
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大正十年創業という長い歴史で培った経験を生かし、お客様の要望に合わせた最適な革素材を提案しています。まさに温故知新から再発掘された『アドバンガラス』は、今の時代の新素材として幅広いニーズに応えられると語る、同社の谷口総氏にお話を伺いました。

―この素材の特徴をお聞かせください。

この『アドバンガラス』は、最後の仕上がりをメーカーさんやクリエイターさん、製品を購入された消費者の方ご自身で仕上げることが出来る革です。色を二層仕立てにしていますので研磨材などで表面の層を落としていただくと下の色が出てくる仕上げにしてあります。落とすと個性的な表情を出してくれます。ジーンズで縦落ちのエイジングが欲しくて浴槽でこすって落とすと、みたいな楽しみが味わえる皮革ですね。
職人さん自身で表情をつけたり、あえてそのまま製品にして購入者さんの感性に委ねたり、自然に擦れて落ちた表情を楽しんでいただいたりも出来ますね。また、型押しで凸凹を出して凸の部分だけを落とすなんかもかっこいいですね。

―素材開発のきっかけとなった背景をお聞かせください。

実はこの革は新しく開発された革ではなく、私が入社した頃に倉庫を整理していたら、大切そうに茶紙で包まれた革が出てきました。「何だろ?」と思って広げて見たら、一見なんの変哲もないガラスレザーが出てきました。不思議に思って先輩に聞いたところ、「アドバンガラスか・・懐かしいな。そこの消しゴムでちょっと擦ってみな?」と言われたので、言われるがまま擦ってみると下から色が出てきて「なんだ、これ!?」と驚いたのが、この革との最初の出会いでした。
当時の私は、初めて見た革ですが『アドバンガラス』はすでに存在していて、鞄やベルト、小物類など多くの製品に使用されていたそうです。『最近は見なくなっているし、問い合わせも無いな、作ってるタンナーさんももうほとんどないんじゃないか?』と先輩に言われました。が、しかし当時の私自身の感性を信じて極めのいち素材に出す決断をしました。

(後編につづく)

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各団体・企業情報はこちらから。

フジトウ商事 株式会社(MEMBERページ):https://tlf.jp/member/fujitou/
フジトウ商事 株式会社(公式サイト):https://www.fujitou.co.jp/