2024.01.26

【極めのいち素材】第105回 第2位 富田興業 株式会社(後編)

イマジネーションと技術が織りなす、素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材やパーツ)など各社渾身の一点を提案する『極めのいち素材』。第105回東京レザーフェアにて、人気投票でTOP3を獲得した企業へのインタビューを掲載します。まずは前編となります。(前編はコチラ
【第2位】
富田興業 株式会社
品 名:輝水馬レザー(キスイウマ)群青色
<コメント>
「輝水馬レザー」は、特殊染色技術により驚くほど軽く、反発力があり、型崩れしにくく、撥水性にもこだわった、独創的なナチュラル素材です。手に取るとその軽さに感動し、所有欲が高まります。生活スタイルを満たす実用的な素材で、豊かな毎日を演出しましょう。
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大正十二年創業の富田興業株式会社は、革を通して「もの」を育てるライフスタイルを提案していきたいという企業理念を掲げ、長年に渡り「もの」づくりのサポートを続けてきました。機能性ばかりに捉われるのではなく、革の表情を一番に考え開発された新しい防水レザーの『輝水馬レザー(キスイウマ)群青色』について、同社の富田裕一氏にお話を伺いました。続いては後編です。

―皮革業界として「今、何を為すべきか?」など、ご意見ありますか?

何をすべきかとは違うかもしれませんが、今、業界が抱えている問題として、日本の良質な原皮が非常に手に入りにくい状況になっていることがあげられます。その原因は円安によるものなのですが、たとえば国産牛で8万頭分の皮が出ているとしましたら、そのうちの5万頭が輸出されています。残った3万頭分の皮を国内のタンナーで取り合っている状況です。以前であれば大量の原皮から高品質な状態のものを選ぶこともできましたが現状ではそれも難しく、生地としての革の品質維持が業界全体で問題視されています。牛を管理されている牧場さんと皮革業界の間には原皮商と呼ばれる業者が入りますので、直接の繋がりはなく牧場さんの情報は全く入ってきません。皮革業界を盛り上げるためには、我々が中心となって努力するのはもちろんのこと、これからは牧場さんとの連携もどこかで必要になるのではと思っております。

―日本の革は品質的にも良いものですか?

海外より良いとか悪いとかはありませんが、日本には日本の良さがたくさんあります。特にホルスタインの「去勢牛(きんぬき)」と呼ばれる去勢された雄牛が傷も少なく肌目の良い原皮だと言われていますね。

―来場者の方々へメッセージをお願いします。

今回の弊社のコンセプトは、革の解放というキーワードで『レザーアンリシェード[LeatherUnleashed]』という名のテーマを掲げています。
どういう事かといいますと、今までの革の使い方に規制を設けず、もっと自由に革という素材を使って楽しんでもらえるような提案をしていこうと思っています。昔は足踏みミシンなどに革が使われていたり、床屋のカミソリの研磨に使われていたりと工業製品などにも多く革は使われていました。実際に弊社のお客様にも楽譜の表紙に革を使いたいなどの相談を受けることもあります。具体的な提案はまだまだこれからですが、このようにファッションやインテリアだけでなく、見えないところも含めて革のポテンシャルを最大限に発揮できる使い方を模索していきたいと思っています。また、革に対する既成概念を一度取り払ってもらって、革という素材を再認識していただくことも大切だと思っています。よく〝革は水に弱い〞と思われています。仕上がりこそ乾いていますが、革というものは元々濡れているものなので、決して水に弱い素材というわけではないんですよ。そういったことも含めて、同業種の方々はもちろんですが、他業種の方、一般の方、問わずに弊社のブースに来ていただき、色々とお話しできればと思っています。


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各団体・企業情報はこちらから。

富田興業 株式会社(MEMBERページ):https://tlf.jp/member/tomita/
富田興業 株式会社(公式サイト):https://www.tomita.co.jp/